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アノタシリーズ最終セクション突入記念!ANOTA FINAL COUNTDOWN TV ~ アノタさんにANOTAについて詳しく聞いてみよう3

ANOTA20世紀音楽中間決済 ~ アノタさんにANOTAについて詳しく聞いてみよう!2 - KAWAGOE NEW SOUNDS

皆様いかがお過ごしでしょうか?
無名のレーベル川越ニューサウンド代表・庭野です。
さて前回予告したとおり、この度ANOTAシリーズの11番目にあたるEPをリリースしたタイミングで再びアノタさんに降臨していただこうという主旨のもと、前口上を書き始めたところでありますが、果たして今回もすんなりと私の所へ降りてきてくれるのでしょうか。
それでは早速大きな声で呼んでみましょう。
※アノタシリーズのリリース状況についてはページ上部をご参照ください。

庭野(以下・庭):アノタ、、、
アノタ(以下・ア):いるよ。
庭:びっくりした!呼び捨てにしちゃったじゃないですか!なんでそんな巻きの感じで現れるんですか?
ア:いやもう、こういうくだりが面倒だからに決まってるだろう。どうせ君のさじ加減なんだからさ、スッと始めてくれよ。僕は君に敬称を強要したつもりもないんだからね。
庭:そんなに面倒くさがるなら、それこそ私のさじ加減で一向に本題に入らないまま長々とくっちゃべって、後編へ続かせてもいいんですよ?
ア:さすがに暇人ならではのマウントのとり方だね。この、「マウントをとる」って例えはいつから使われるようになったんだろうね?
庭:さあ、、、私は使ったこと無いんで。
ア:というわけで僕から本題に入ってしまおうかな。庭野君、ついにというか、案の定、こういう切り口に行き着いたね。君の新作はこのご時世に1秒も試聴出来ないわけだ?しかも1000円もするじゃないか?いつもの倍の値段じゃないか?売る気が無いと見せかけて微妙に手が出る値段にするあたりも君らしいじゃないか。

niwano.bandcamp.com


庭:もう新作の話ですか?そうですね、これはもう敵しか作りませんよね、いや敵どころかいつにも増してスルー率が高いですね。なにせどんな代物かもわからないのに買えって言ってるわけですから。しかもこれはゴミ同然の音楽データですと謳っているから理解不能ですよね。
ア:いや、理解を求めるくらいなら芸術なんてあって無いようなものだよ。むしろ、これは君が導き出したこの作品シリーズに対する一つの回答でもあるし、れっきとした芸術作品なんだから胸を張りたまえ。
庭:一応様子を伺いつつ値段を吊り上げていこうとは思ってます。
ア:せこい、せこいなあ庭野君、そのせこい皮算用を含めてこれは立派な芸術作品だよ。メインの曲がボーナストラック扱いになってるところなんか憎い演出だね。それにね、聴くことを目的としていないだけで、金を払えば聴くことは出来るんだからね、気に入らなければ、俺はわざわざゴミに金を払ってそれがゴミだと確認してやっただけさ、なんてかっこいい芸術批評も出来ちゃうんだからこれは良心的だよね。
庭:せこいですか?ちょっと気になったけどその時買わなかった中古のレコードがしばらくしてプレミア価格に吊り上がっていて後悔することがあるじゃないですか?その気持ちをアート作品で表現しようというね、、、嘘ですけどね。Bandcampは全編試聴できる配信コミュニティであることを強調しているので無料アカウントのままでは試聴不可に設定することが出来ないんです。だからボーナストラックにするしかありませんでした。ついでに1曲の容量制限もあるので長すぎると分割しなければならない。30分を超えるとまず無理ですね。今回は34分ほどあって、この曲がAB面に分かれているのはそのせいです。それにしても先生、すごい褒めるじゃないですか?どうしたんですか?
ア:褒めなきゃ始まらんだろうに。
庭:無理やり褒めてるんですか?
ア:そういうわけではないよ。ちょっと大げさに振舞っただけさ。いやだってね、君は良いよ、このシリーズが完成したところで箸にも棒にも掛からなければ作品と心中してしまおうと考えているんだから。でも僕はどうなるんだい?君のような寛容な人間がいないと僕の存在も希薄になってしまっていつか忘れられてしまうかもしれないんだよ。それはあまり都合が良くないんだよね。
庭:はい?どういうことですか?
ア:君の中では唯の思い付きで、これで駄目なら自分の人生に見切りを付ければ済む話なんだろうけど、このシリーズはね、君が勢いで掲げたとおり、20世紀の音楽を補完する計画の一端なんだよ。
庭:それは分かりますがね、あくまで一端でしかないです。私は気の向くままに作ってるだけですし何か重要な歯車の役目を担っているなんて微塵も思わないんですよ。私の方も世の中には愛想が尽きてますからね、好きにやって駄目なら終わりでいいじゃないか、はいそれまでよ的な思いで残された日々を過ごしているんです。絶望しながら生きていたって何の意味もない、人間が嫌いなのに人間をやっているなんて矛盾してるじゃないですか?
ア:そういう気持ちで君がこれを作っているのは知っているよ。でもね、それは大した覚悟じゃない。なぜなら、君は今こうして生きているし、音楽を作っている。絶望と君は言うが、希望がなければこんな生活も送れないし、第一に芸術になんて関わっていられないと思うよ。君が僕の存在に気づいたときに一体何が見えたんだい?これを形にすればきっと人生を切り開くことが出来ると確信したんじゃないか?
庭:いいえ、決してそんなことは無いです。確かに今は罰当たりなくらい自由で、アノタ先生の言いつけを守って好きな将棋を一日中観ていられるし、自分のことだけを考えていればよい生活を続けられていますが、もうそれをしてしまったからには社会的に健常な生活に戻るのにとても苦労することも経験上知っていますし、二度も同じ考えに達してしまっては、さすがに再び真っ当な社会に戻りたいと思うような原動力が巡ってくるだろうという楽天的な考えなど持っていません。
ア:あはは、二度目なのかい。でもそれはおかしいな。希望も無しにこんな正攻法でものを作っているなんて僕には矛盾しているようにしか見えないよ、君は今も生き生きしているし、社会的にも健常な生活を続けていると思うけどなあ。
庭:正攻法なんですか?これでも社会的に評価されるんですか?そんな、虫の良い話は聞いたことがない。
ア:そうかい?世の中、特に人間にとって社会というものほど虫の良い場所は無いんだよ。
庭:人間にとって?そもそも社会は人間が作ったものでしょう?
ア:違うよ。社会は誰が作るものでもない。君には君の社会があって、僕にも僕の社会がある。もちろんミミズにもオケラにもアメンボにもある。それが複合的なものになることは実際は無いんだよ。つまり君は君の社会でしか生きられない。だから君が自由を感じている今、君は社会的に健全だということなんだよ。
庭:なんだか言いくるめられてるようですが、私は社会とはただ無思考な人間が妄想し続ける柵にしか思えないんですよ。ですから必然的に自分は社会とは無縁の場所で生きるしかない。でもそんな場所はこの世にはありません。もちろんあの世というものがあってそこに行くしかないなんて不埒な考えもありません。ただ場所が無いから消えるしかない。そういう割り切った考えで余生を過ごしているだけなんですよ。
ア:君の考え方はともかく、これが余生だとしてもそれが功をなしているのか、非常に献身的で発展性に富んだものを作っているね。だから僕は君におおいに期待していたんだけどなあ。このペースでいくと今年中にアノタシリーズは完結してしまうだろうね。でも僕からしたらそこで終わられても困る。そう、やっぱりとても都合が悪いな。一端は一端でも君が想像するアノタ、または補完されるべき音楽の一端であって、それを君以外の人間が賄うというのはどうしても現実的では無いんだよ。
庭:他に適任はいくらでもいると思いますけど、、、このシリーズが終わっても次のシリーズが始まるかもしれません。
ア:そうなのかい?
庭:ええ。これを作り終えたところで私にはまだいくらか余裕があるでしょうから、それが尽きるまではまた何かを作ろうと考えるんじゃないかねえ。
ア:一瞬前向きに聞こえるけど破滅に向かっているとしか思えないね、君はX JAPANか?でもやる気はあるみたいだね。よし!ちょっと話が逸れてしまったけど君の渾身の一作についてもう少し掘り下げてみようじゃないか。コンセプトや君の思惑は何となく分かったけど、サウンド面はどういう感じなんだい?それに毎回カバーデザインも試行錯誤しているけど、今回もとても興味深いね。誰だいこの子は?

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庭:このジャケットはあるアプリで加工した私の顔です。前々からこういうジャケットも作ってみたかったのですが、頼めるような伝手もないので諦めていました。でも時代は一人でなんでも作れる方向に進んでいるんですね!ここまで弄ってしまうと元が誰でも一緒なんでしょうけど、それにしても自分の顔がだんだんと妖艶な姿に変化していく過程はそれはそれは身の毛もよだつ思いでしたよ。あ、サウンド面は適当です。
ア:なるほどそういうカラクリだったんだね。手法はともかく、これは作品のコンセプト性を高めるという意味でも面白いアプローチ、いやいや回りくどいな、わかりやすく言うと釣り画像だね。で、サウンド面だけど、ちゃんと説明したまえ!
庭:何も釣れないと思いますが。サウンドについては説明したところでどうせ聴かれないんですから、、、まあでも、もしかしたら他に何かもの作りをしている人の参考になることもあるかもしれないので、どうやって作ったかだけでも書いておきましょうか。
ア:まあこのブログもほとんど読まれてないけどね。
庭:先生は褒めて伸ばすタイプじゃないんですか?
ア:飴とムチさ。
庭:飴くらいで鞭打たれたんじゃ割りに合わないなあ。
ア:ほらもう一個あげるから早く話したまえ。
庭:まずメインとなるパートの音は前作(と言っても#7ですが)で試してみて面白かったサンプリングの手法を発展させてみたものなんですが、まずギターのいろんなところを叩いたり擦ったりどこかにぶつけてみたりした音を何分か録音します。それを丸ごとサンプラーにぶち込んでですねいろんな音階で頭をずらして弾くと不思議な現象が起こるんですよ。同じ音が違う音階で、しかも時間をずらして鳴るという仕組みなんですが、これが手軽に出来るわりに想定外の音になって面白いです。前作に収録の"Apple in Curved Air"の途中で聴けるインターバルようなパートではプリペアドピアノ(またはギター)で即興演奏しているような雰囲気が出まして、今回はなんだか打楽器でアンサンブルしているような民族音楽っぽいけど、なんかプラスチックを叩いているだけのようにも聴こえる不思議な雰囲気になったんですよ。
ア:とてもゴミ同然の作品には思えないね。
庭:いや、ゴミですよこんなもの。
ア:ゴミだけどリサイクル可能というわけだね。
庭:あとは部屋の窓辺にしばらくスマホを放置しておいて録れた音がベースで流れています。それとイントロとエンディングでアシッドサウンドのシーケンスを、メインパートの展開としてオブスキュアなベースシーケンスを入れました。今回もそこでは特定のトラックにGuitarRigによるダブ処理を施しています。これが今回のゴミ作品の内訳になります。
ア:リサイクルのところ無視しただろ。まあでも、たいしたゴミじゃないか。
庭:先生はこのゴミに金を払えますか?
ア:ちょっと今持ち合わせが、、、
庭:うわ、誤魔化し方下手くそ。
ア:タイトルは「これはインターネット上のゴミ屑です」か。君はこのDebriという言い回しを好んでいる節があるけどもしかして、何かの影響かい?
庭:プラネテスという漫画にスペースデブリという言葉が出てくるんですけど、おそらくこれの影響かと。
ア:なるほど響きにどこか美的感覚を刺激されるところがあるね。
庭:ゴミと言われているのに、まるでその一つ一つがパズルのピースであるかのような愛着を感じてしまったんです。
ア:破片という意味ではそういう見解も有り得るね。でもそこまで夢想してしまうなんて君は本当に世界に対して慈愛を持っている人間なんだね。
庭:それは自愛の間違いでは無いですか?でもこの世界に対して、この宇宙に対しての慈愛なら多少は持ち合わせているかもしれません。そこに人間は含まれていませんが。
ア:頑なだな。ともかく、この聴かれることのないゴミ屑は慈愛に満ちた偶然と未知が奏でるスペースオペラ組曲だということだね。
庭:誰も歌っていないのでオペラと言われると恐縮してしまいます。
ア:僕には君が謳歌している声が聴こえるけどね。
庭:恐縮です。
ア:それも何かの影響だろう。
庭:この対話形式だってよくある自己啓発本の影響じゃないですか。
ア:いや、これはTVブロスでたまに見る、電気グルーヴ天久聖一の架空対談の影響だろう。
庭:一番月刊化しちゃいけない雑誌、TVブロス
ア:ところで、これ以降の作品(#12と#13)もやっぱり試聴不可なのかい?
庭:そこは先生のご意見を参考にしたいところですね。
ア:僕が君に具体的に教えることは何も無いんだよ。
庭:今言えることは、この作品が最終セクションの方向性を決めるものではないということと、聴ける、聴けないという設定や作品の値段が変動する方針は作品に込めたコンセプトと直接関わるものではないということです。
ア:それは僕が口添えしてあげようと思っていたことだよ。やっぱり君に期待せざるを得ないな。
庭:ジャケットは全部顔ジャケになるかもしれません。
ア:なるほどそれも一興。
庭:なんだか飲み屋で上司が部下を慰めてるみたいですね。
ア:それは社会的なやり取りだね。
庭:上も下も無いですけどね。
ア:それなら、プラスもマイナスも無いよ。
庭:勝ちも負けも無いですね。
ア:絵も花も歌も無いよ
庭:「居酒屋」ですね。
ア:居酒屋ではない!ここは戦場だ!
庭:女将さん大変です!
ア:姉さん事件です!
庭:そうです、私が変なおじさんです!
ア:おいおい、勢い勇んで始めたものの、やることをやり切ってしまって後半グダグダで終わるYouTubeの生配信みたいになってるぞ!
庭:それは良く無い!早いところ締めましょう!先生帰って!
ア:あんなに巻き気味に来てやったのにこの仕打ちかよ!

ということでアノタ先生の大らかさに絆されて、ついつい本音トークに花が咲いてしまいましたが、私には私だけの社会があるということらしいのでそこで生きていこうと思います。私だけの世界?こう言うとアーティストっぽい?死なば諸共アノタ散るらむ?という感じで今後ともこのシリーズにご賛同いただける奇特な音楽好事家を求めてこの広大なネットの世界を徘徊していきたいと思います。興味ない方はさようなら!次のリリース予定は8番です。。