免許がない!お墓がない! お金がない!そして2021年はディスクがない!
今年も気まぐれにリストアップしておいた作品はすべてストリーミング&ダウンロードでの聴取、ついに盤を買って聴いた新作がゼロになりました(ちなみに去年のベストディスクは通称「ほとんどディスクじゃない!」でした)。と、このように一人の似非音楽好事エンドユーザー事情が露呈したところですが、今や音楽雑誌でもベストディスクではなくベストアルバムという言い回しが妥当になっている現状を思い出し、そして気を取り直し、姿勢を正し、奇声を発し、異性を意識しながらメモ書きのようなレビューを野晒しにしてやろうと思います。
#1 Carlos Nino & Friends - More Energy Fields,Current (International Anthem Recording Company / Rings)
#2 Sam Gendel & Sam Wilkes - Music for Saxofone & Bass Guitar More Songs (Leaving Records)
www.youtube.com
#3 Giant Claw - Mirror Guide (Orange Milk Records)
近年のベースミュージックなどの発展形、フリー化した新興ビートの現在進行形ともいえる音響作品。OPNの「R Plus Seven」のようなレディメイド感、DAWメーカーの最新サンプリングライブラリを使ったデモンストレーションを細切れにして繋ぎ直したような、だがその編集段階やデジタルプロセスを追体験するかのようなデザイン性の高さは類を見ない中毒性。一定のリズムを回避するという意味での非ミニマル性は前作の「Soft Channel」を踏襲するものだが、今作の音色や構成の完成度(前作のような歌を聴かせるという概念さえも取り払われて人間の声もシンセの合成音声と同列化されて組み込まれている)を思えばこれまでの作品は今作のためのプロトタイプに思える。と同時に2001年にメロディとビートをシンクロさせたASA-CHANG&巡礼の「花」や、shotahiramaの「post punk」(2014)における非ミニマル性を孕むサウンドデザインが殊更意味性を増してくる。これらがゼロ年代以降という21世紀に発展した20世紀音楽の縮図の一つとして何らかの関連性を見出すために下記に列挙した作品とともに全てのリスナー方に更なる考察を委ねたい。そしてその一方でこれらの作品から採取されたかの如き最新プラグインバンドルセットがほぼ同時期に半額セールを実施中という現状に何をか思わんや。
Autechreの「Confield」をApple Musicで
Ovalの「O」をApple Musicで
Jackson and His Computer Bandの「Glow (Bonus Track Version)」をApple Musicで
Amon Tobinの「ISAM (Bonus Track Version)」をApple Musicで
Rudi Zygadloの「Tragicomedies」をApple Musicで
Against All Logicの「2017 - 2019」をApple Musicで
lodsbの「Aero」をApple Musicで
#4 くるり - 天才の愛 (Speedstar Records)
ギターで弾いたコードの響きが気持ち悪く感じて平均律を疑い出し、他の調律を混ぜて曲にしたという制作話を聞いてから改めて聞き返すと、それこそこちらの平衡感覚が狂わされたような気になったが、アルバム全体を通してその平衡感覚がギリギリのところで踏みとどまったくるりの傑作。素性が霧に包まれつつある状態の極地でくるりとしての一貫性、すなわちバンドとしての平衡感覚を保ち続けたことで彼らならではのチューニングを導き出したのではないだろうか。無理やり例えるならば、DAW以降のホフディラン「Washington.C.D」か。ホフディランはこの作品でただのフォークデュオではないことを知らしめたのだが、くるりがただのロックバンドではないことは以前からなんとなく分かっていたがそれでもそういう気概を思わせる作りであることは確かだし、これがミュージックマガジンの2021年ベストアルバムに入選するであろうことも必至である。音の多様性(は今に始まったことではないが)も去ることながら岸田氏の歌い回しにも工夫が見られる、音域によって松山千春のように発声法を変えてみたり(気のせいかもしれない)、自然体に聞こえたが実は奥田民生節を拭い去れない癖のようなもの(90年代以降の邦楽の歌唱法はほぼ氷室京介と奥田民生と桜井和寿の影響下にある。言わずもがなホフディランはこの影響下になかった。)を意図的に変調させている(ような気がする)。それは80年代以前のニューミュージック期(フォーク期の小椋佳、杉田二郎まで掘り返したくなったが少し的外れか)にあった声の多様性とも関連づけられそうだ(むしろ折坂悠太やceroなど下の世代の影響かもしれない)。
#5 L'Rain - Fatigue (Mexican Summer)
メキシカンサマーといえば、とても優良なレーベルのイメージではあるものの印象的な作品はと問われても、即答できない程度で多分個人的に衝撃的な作品は無いわけだが、これはきっと衝撃的な作品として記憶に残るだろうし、音楽歴史上においてもかなりの問題作としてこれから検証が為されるであろう代物だ。なにせ非常にアイデアが豊富であるし、一度聞いた限りでは出自やコンセプトなどはまったく推測できない。それというのも全14曲30分という矢継ぎ早な構成で、ある程度尺を取っている曲でも中で展開してしまう。とくに2曲目の「Find It」(これがAppleMusicのニューリリースまとめの中にリストアップされていたわけだが)は途中まで機嫌よく歌っていたのに突然環境音楽のようなループが始まって気づけば全く別の曲(サンプリングか?)が取り込まれて再生される。ファーストアルバムも様々な影響が窺える内容(ドリームポップ以降のコクトーツインズとでも形容しておこうか)だがそれらが良くも悪くもごった煮になっている状態で、その分ストレートな表現なので出自も明解なのだが、今作はそれらに独自の解釈を込めて、まるで水墨画のようにシンプルな構成にしてしまっているところが大きな進化だろう。雰囲気で評してしまえば、早くもムーアマザーを超えてきたというべきか。ローファイ感を醸しながらもとても繊細なサウンド。複雑だが明快な表現、構造。素晴らしい。これくらいの世代の人たちの制作現場ではこんな卓越した感覚が行き交っているのだろうか、、恐ろしい。
#6 浅井健一 - Caramel Guerrilla (SONY)
1曲目の「少女」が素晴らしく、そのままアルバムへ没入させてしまう説得力がある。今までの彼の関わる作品をつぶさに聴いてきたわけではないが、様々なユニットでのセッションを交錯させながら創作する中(それが要因となってメンバーの脱退があったようだが)でその全てが集約したような、交差点のような、駅馬車のような多様性は、まだブランキージェットシティが活動している時期にデビューしたSHERBETの初作とその後にバンド形態となったSHERBETSのアルバムを聴いたときにも感じたような気がする。3曲目はもしかして、後藤輝基への「本物と偽物の違いをおしえてやるぜ」的な回答ソングか?
#7 Flying Lotus - YASUKE (Warp)
和テイストなタイトルが鼻につくなあと思ったらネットフリックスのアニメのサウンドトラックだったという話なのだが、これが非常に端正な出来栄えで今風の音源を使っているがレトロな雰囲気もあるし奇を衒った感じもない。たいがいこういう系のアーティストがサントラに手を出すとつまらなくなるのだが、むしろオリジナルアルバムより硬派だしこっちの方が好感が持てると言ってしまいたい。そもそも彼の作品を初めから終わりまで飽きずに聞けたことがないくらいなのに、これは気付かずにリピートしていたくらいなのだから。目新しい音もメロディもないのだがそういう既製のものを組み合わせる職人気質が芳醇であることを思い知らされる(もしかしてある程度作ってエンジニアに任せてるのかと勘ぐってもいるのだが)。ネットフリックスなんてこれから10年生きる目処も立っていない私のような者が利用していいサービスだと思っていないからこのアニメ作品を見ることはないだろうが、サントラだけでも十分な物語性を感じる。
#8 Jana Rush - Painful Enlightenment (Planet Mu)
例年の如く輩出されるプラネットミューからの今年の新星は昨年のSpeaker Musicに続き、またもや新興ビートをただ発展、洗練するに留まらない(前作はその域に留まる)、更にもう一歩踏み込んだ解釈によって音楽における民族性すらもデザインし直してみるかのような知性と快楽性が呼応するブラックテクノだ。ジャズのスタンダードのタイトルを引用した1曲目からその律動が鼓膜よりも肉体や血管を震わせ、また4曲目のG-Spotという曲は性行為中の女性の喘ぎ声がジュークの敏捷さを奪うかのように気怠く耳にこびり付いてくる(実際にはそれぞれの音が分離しているのでジュークのノリは維持されている、にしてもドナサマーのLove to Love You Babyで聴けるしつこいくらいのセクシーボイスとは明らかに質が違う、明らかにマイクに向かって発生していないこの音声はまさしくフィールドレコーディングの挿入なのだと解釈するまでに多少の時間を要する)。こうしてBlack Lives Matter以降のブラックパワーはその歴史と混血する(意味不明)。新人かと思いきやデビューは90年代で長いブランクを経ているとのこと。ウェブ版エレキングのレビューにフットワーク版デレクベイリーという形容があったが、言い得て妙というやつだ(ちなみにデレクベイリーは一時期ドラムンベースに手を出している)。このアルバムは番外(盤外)編のアートワーク大賞にもノミネートしたい。
#9 evala - 聴象発景 (RITTOR MUSIC)
動物の身体は実に精巧で繊細だ。フィールドレコーディング作品を聴くといつのまにか音というものの姿形を追い求めて耳にそれが触れる瞬間を注視しながらその振幅の大きさを確かめようとしてしまう。音は消えてなくなるまで絶えず揺らいでいるのだと思い知る。フィールドレコーディングというコンセプトの極地に位置するような今作品を体験するには、このような音源作品のみでは不十分ではあるが、聴覚そのものが我に返る瞬間に立ち返ることができる貴重なサウンドインスタレーションの一つであることは間違いない。巷に氾濫するASMRとやらに癒された気になって思考することを止めるか、彼の言う本質を取り戻すために今作品を聞いて耳を浄化、そして更新するかはあなた次第だ(かく言う私もまた亜流の音楽を作って喜んでいる偽物という可能性も否めない)。
聴く〇〇とか音声メディアとか最近、うっせぇな。本質とらえてないかんじっていうか聴覚なめんなって話です。
— evala (@evalaport) 2021年4月9日
#10 Black Midi - Cavalcade (Rough Trade)
好みは1stなのだが発表当時はスルーしていて、今作のリードシングルを聴いてハマったくちなのでこれをピックアップ。今作を聴いてから前作を聴くと前作の方がファニーで愉快なバンドだと感じるし、サウンドも鮮烈だと思うのも多分好みの問題なのだろう(1st派と2nd派に分かれそう)。今作は豪華になったせいなのか作風の変化のせいなのか1回聴いてお腹いっぱいになったという印象。欲を言えば、もう1枚くらいバンドメンバーの音だけでアルバムを作って欲しい(バトルズみたいにメンバーが減ったりしなければ)。
#11 Helm - Axis (Dais Records)
Tim HeckerのRadio Amor(2003)、Virgins(2013)、FenneszのBlack Sea(2008)、Lawrence EnglishのWilderness of Mirrors(2014)、Ben FrostのThe Centre Cannot Hold(2017)、坂本龍一のasync(2017)、Corey fullerのBreak(2019)、Vladislav DelayのRekka(2020)というような系統立てが私にはあるのだが、その最後尾に今作を並べたい。そしてこれらはTaylor Deupreeの1998年の作品Still.に帰還するのである。わざわざこの系統立てを文字に起こした訳はFenneszのBlack Seaをこの年代の重要作として再確認するためである。彼の重要作はEndless Summerだが、あれが評価され過ぎているせいでBlack Seaのような最重要作が埋もれてしまっている。実は私はEndless Summerはあまりピンと来ていないという御仁は是非Black Seaを聴いてみてほしい。そして評価値のバランスを再調整していただきたい。タイトルのAxisで思い出した訳ではないが、この辺の作品はまた高柳昌行のAction Directシリーズへも帰還する。
Black Sea - Album by Fennesz | Spotify
#12 池田亮司 - superposition (codex | edition)
superposition [download]codexedition.com
vimeo.com
2012年の池田亮司による舞台演出やビデオアートなどを含めた総合作品「superposition」。そのサウンドトラックがリリースされ、さらに公演動画がオンデマンド配信されたことは今年の一番のトピックだろう。テクノから派生したサイン派とグリッチによる成形ビートと人間の手によるコードインプット(モールス信号やタイプライターのタッチ音)のコラボレーションが舞台上でリアルタイムで再現される驚愕のパフォーマンス。あらゆるメッセージが交差してカオス化する物語を一切声を使わず情報交換を行うその表現形式はまさしくダムタイプの意思を汲むデータマトリクス世界。生きているうちにこれが見れて本当に良かった。
#13 踊ってばかりの国 - moana (FIVELATER)
#14 Ryan Adams - Big Colors (Pax Americana Recording Company)
ライアンアダムスの作品で個人的に好きなのが2004年の「Love is Hell」という異様に暗いアルバム(たしか友人の死を悼んだ作品だったと思う)で、それから特に気に掛かる作品も無かったが久々に聴いたこれはそこはかとない哀愁と充実ぶりが伺えた。2019年にリリースされるはずだったが(プロモーションまでして発売日まで告知していた)プライベートの事情でリリースを延期していたという曰く付きの作品。渦中にもそれを踏まえての代替アルバムをしっかりとリリースしていてなんとも器用な作家だなと改めて思った次第(「Love is Hell」も一時はレコード会社から暗すぎるとダメ出しされたようでその代替として「Rock n Roll」という当てつけたようなご陽気作品を作り上げている。今にして思えば「Love is Hell」が異様なのではなくて作品毎にまるで別人の如く作風が変わるアーティストなのだろう)。またこれをきっかけに聞き返してみると「1984」「1989」というその時代を踏襲するようなコンセプチュアルな作品も興味深く、出来はともかく音楽的好奇心の高さを窺い知ることが出来る。
#15 Yerin Baek - tellusboutyourself (Blue Vinyl)
昨年12月リリースのため繰り越し。
KATIEやSesoneonのボーカリストSo!Yo ON!につづく韓国の歌姫か(個人的見解)。2019年のデビューアルバムから日本でも注目されていたようだが、今作は抑揚の効いたソフトな歌唱やソングライティングなどに早くも円熟味と個性が感じられる。ソロ活動以前にK-POP業界大手のJYPから15&というボーカルデュオでデビュー、現在は自身の傘下レーベルから作品をリリースしている。2021年に入ってThe Volunteersというバンド名義でもデビューアルバムを発表。music.apple.com
#16 折坂悠太 - 心理 (Less+ Project)
テン年代の最重要邦楽アルバム「平成」も記憶に新しい折坂悠太の新作は堂々たる完成度を誇り、前作をいともあっさりとプロト化している。すでに円熟味を帯びた節回しはまるで伝統芸。これが新しい日本のルーツミュージックとなっていくのだろう。
#17 Dalhous - The Composite Moods Collection, Vol.2: Point Blank Range (Denovali Records)
ジャリジャリと砂が風に吹かれて流れているようなノイズともアンビエントとも言えない環境音のような電子音のような空間音楽が延々と垂れ流される感じ、とても怠惰で主体性のない、意味ありげだがスーパーでかかっているBGMのように聞き流されてもおかしくないひっかからない音、だがそこはかとなく全体的になんだか耳にこびりついて離れないイメージ、そして気まぐれに何度か打ち鳴らされるキック音(Amon Tobinの「ISAM」風)、なんだかインダストリアルなビートに発展したりもするがそれは長続きせず、またジャリジャリとした音の荒野が広がる。タイトルもなんだか真面目なのかふざけているのかわからないシリーズの第2弾らしいが、副題に「至近距離」とある。まったく意味がわからない。このような作品は何度聞いても全容が掴めないのだが何となく記憶の片隅から消えず、何かの折にまた聞いてしまう。だがそれは聞いたそばから霧に包まれて忘れてしまうのだ。こういう体験は何度かある。例えばDemdike Stareの「Elemental」(までの初期3作)などがそうで、もしかして今作のように曲が繋がっていると輪郭がぼやけるのかと思ってこれを聞き返してみると全然繋がっていなかった(驚愕)。それからActressやLaurel Haloなどテン年代以降のエレクトロ系も半分以上は音の記憶としてはかなり希薄なままで、絶大な評価を得ているArcaも多分に漏れず(「@@@@@」は傑作だと思うが)。それでもやはり、不理解や好き嫌いとは別のところでActressの「R.I.P.」など、時に聞き返したくなる作品も少なくない。 全く繋がっていない!ああ記憶違い。
#18 Innode - Syn (EDITIONS MEGO)
radianからの暖簾分け的グリッチファンク。特に初期のミニマル路線をそのまま推し進め、ジリジリした緊張感を伴うマーティンブランドルマイヤーのドラミングの代わりに挿げ替えたハンマービートやブレイクビーツのような明快なリズムがグリッチパターンとよく絡んでいる。
#19 魏如萱 Waa Wei(ウェイ ルーシュエン) - Have a Nice Day (MR, WING CREATIVE)
台湾では国民的人気を誇るシンガーソングライターの7作目のアルバム。AppleMusicのDolbby Atomosを採用した作品リストの中に偶然見つけた今作は童謡「桃太郎」の歌い出しの引用から始まる。
#20 ASS MAGIC - ENERGY (Self-Release)
和製Orange Cake Mixか。清涼感はこちらが勝るか。同年4月にリリースされたセカンドアルバムも素晴らしい。
二作ともあっという間に二巡してしまうのは全曲2分未満という思いがけない統制=仕掛けのせいだった。
○その他のピックアップ
#21 Godspeed You! Black Emperor - G_Ds Pee at States End! (CONSTELLATION)
#22 Mega Bog - Life, And Another (PARADISE OF BACHELORS)
#23 Lionmilk Quartet - O.T.S. (Preference Records)
#23 Special Interest - Trust No Wave
#25 Seafoam Walls - XVI (Daydream Library)
#26 渡邊琢磨 - ラストアフタヌーン (CONSTRUCTIVE)
○滑り込み入選
#27 Monde UFO - 7171 (Universal Freeing Object)
#28 Nala Sinephro - Space 1.8 (Warp Records)
#29 Jimi Tenor & UMO Helsinki Jazz Orchestra - Terra Exotica
#30 Holy Other - Lieve (Mute Song Ltd.)
テン年代のエレクトロムーブメントの中でもとりわけ夢遊的な作品としてピックアップしていた1stアルバム「Held」からなんと9年を経ての2ndアルバムは老舗レーベルMuteからということで2度びっくりだが、1st同様に脳にこびり付くような陰湿さとウィッチハウスなるムーブメントの特徴か、独特なリズムプロダクションがその陰湿さを心地よいグルーヴに昇華していく。同じ頃に台頭したこれまた重要なアーティストHolly Herndonのその後の傾向ともリンクしそうだが、やはりこの界隈のアーティストの音は実態が掴みづらい(#17参照)。
○滑り込み2(聞き漏れチェック)
自分自身のために聞き漏れチェックをしている都合で記事投稿後のリストアップ作品を継ぎ足しています。
#31 Sam Wilkes - One Theme & Subsequent Improvisation (LEAVING RECORDS)
#32 J Foerster / N Kramer - Habitat (LEAVING RECORDS)
#33 Daniel Bachman - Axacan (Three Lobed Recordings)
#34 猪野秀史 - In Dreams (INNOCENT RECORDS)
#35 Chris Corsano & BIll Orcutt - Made Out of Sound (Palilalia)
#36 Pino Palladino & Blake Mills - Notes With Attachments (Impulse!)
#37 Injury Reserve - By the Time I Get to Phoenix (Self-Released)
○番外編・アートワーク部門
ディスク部門からも2作ほど選出しましたが、こちらは内容に関わらずとりあえずジャケットが目に止まった、いわゆる一目惚れジャケット(惚れジャケ)を少々。
Band-Maid - Unseen World
メンバーの指をコラージュしたアートワークが目を奪う。
平井堅 - あなたになりたかった
タイトルと連動するような無造作に撮影したら意に反してフラッシュが点灯してしまったような表情の見えない顔が匿名性を高め、微妙に個性を主張するTシャツがさらに対比されてこのアルバムの内容を想像させるが、いざ中身を聞いてみればどこをどう切っても平井堅。これは自己肯定と自己否定を繰り返して行われる自己形成の一例。あなたになりたいというより、誰にもなりたくないという声が聞こえてきそうだ。気づけば彼も山下達郎のようにタイアップ曲でアルバムの半分を賄うほどの職人歌手になっていた。
中身も良い。