私には音楽がある
他にも自己を表現しうるものが世の中にたくさんあることも知っている
それを知らないというのは恐ろしいことで
日々そのことを意識せずに生きているのもまた危険である
己が行き場を失って路頭に迷った時に何を手元に引き寄せるのか
最終的にはどんな人間も自己表現というものに行き着くだろう
私には音楽があって楽器を手にすることができる
別にそれを生業としている必要もない
ふとした瞬間に自分が何を手にしているのか
それが箒とちりとりというのも悪くない
その時に自分の中に何も表現するものがない人間は
往々にして自分の身を守る道具
すなわち武器を手にしてしまう
音楽と一緒に心中することは出来るが
武器を持った人間は他人を傷つけることしか出来ない
やれ荷物検査を徹底しろだのいや通り魔を防ぐ方法は無いだのという議論は水掛け論にしか聞こえず
それ以前にこういった履き違えの表現者を生み出さないために
私たちは排他的環境社会に蔓延る無垢な悪魔にどう立ち向かえばいいのかを考えるべきだと思うのだ
人はただ協調性とともに成長出来るわけでは無いということを
人は元来いついかなるときも自由という名の下に生きているということを
大人になってしまう前にしっかりと自覚するべきなのである
そうすればたとえどこかで孤独に陥ってしまってもすぐに
いやそもそもそんなに群れたがるような生き物では無いのだと
悟ることも出来るのでは無いかと思うのだ